2019年2月25日月曜日

効率性係数を考える① 平均在院日数と入院期間Ⅱ


急性期病院にとって、機能評価係数Ⅱをいかに上げるかが経営課題になっています。

しかし、機能評価係数Ⅱを構成する6項目のうち、現実的に自助努力で上げることができるのは効率性係数と救急医療係数の2項目のみです。

ここ数年の動向としては、地域包括ケア病棟を積極的に活用することで、各診断群分類の平均在院日数を短縮させ、効率性係数を上げているケースをよく見かけます。

それらの動きは、個別の診断群分類からも見えてきます。

例えば、全国のDPC対象病院において症例件数が多く、効率性係数に与える影響が大きい診断群分類である「160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等」では、2014年制度では入院期間Ⅱが28日でしたが、2016年制度で26日に、2018年制度では24日まで短縮しました。

一方、中医協のDPC評価分科会のDPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」で公表された当診断群分類の平均在院日数は、2012年度以降、病院群を問わず短くなる傾向にあるものの、2017年度では、大学病院本院群27.3日、DPC特定病院群23.8日、DPC標準病院群27.9日であり、DPC特定病院群以外は入院期間Ⅱの設定日数と3日以上乖離しています。


メデュアクト



入院期間ⅡはDPC対象病院における平均在院日数というDPC制度の前提ルールがそのままの通りであれば、入院期間Ⅱと退院患者調査で示された平均在院日数が噛み合っていないことになります

退院患者調査の平均在院日数が長めになっている影響には、退院患者調査は転棟症例がデータから除外されている点が考えられます。

これらのことを踏まえると、160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等」の入院期間Ⅱの短縮は、地域包括ケア病棟に各病院が転棟を促してきた影響が大きいものと推測されます。

上記はあくまで1例ですが、他の診断群分類においても、早期にDPC対象外に転棟させることで、一般病棟のみの平均在院日数が短縮。その結果、効率性係数が上がっていくという流れが見えてきます。

では単純に一般病棟から他病棟への転棟を促せば、効率性係数は上がるのでしょうか。




効率性係数を考える   

2019年2月22日金曜日

シンポジウム「今、水族館が四国を盛り上げる!その魅力と将来」

3月9日(土)に四国圏域にある6つの水族館の館長を集めて、シンポジウム「今、水族館が四国を盛り上げる!その魅力と将来」を開催します。参加費は無料です(要事前申込)。

四国水族館開発HP:http://shikoku-aquarium.jp/news/archives/240





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3月9日(土)、シンポジウム『今、水族館が四国を盛り上げる!その魅力と将来』を開催します。

このシンポジウムでは四国内6つの水族館の館長さんが集まります。

第一部では館長さんによる水族館のPR・自慢大会。とっておきの水族館裏話が飛び出すかもしれません。第二部はパネルディスカッション。「自然」と「地域活性化」をキーワードに、四国の自然の魅力と四国活性化における水族館の役割と展望について議論します。

日時:2019年3月9日(土曜)14:00~16:30
             (受付開始 13:30)
場所:香川短期大学 講堂ホール
   (香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁10番地)
参加費:無料

主催:株式会社四国水族館開発
共済:経済産業省 四国経済産業局

後援:香川県、宇多津町、四国ツーリズム創造機構、四国旅客鉄道株式会社、
   香川短期大学、特定非営利法人Reさぬき


普段お目にかかれない館長さんたちが勢ぞろいする、めったにない機会です。
水族館を通して、四国の魅力を再発見してみませんか?

水族館好きの方はもちろん、四国水族館のオープンまで待ちきれない方も、
ぜひお越しください。お待ちしております。

参加の申し込みはこちらまで→ http://shikoku-aquarium.jp/news/archives/240

2019年2月18日月曜日

今週末は急性期病院の経営戦略・戦術セミナー

日曜日の午前は銀座でMMオフィス工藤代表と昨年11月に続くコラボで登壇します。

そしてPMもなんと同じく工藤代表とかつての同僚・上村久子先生がコラボ。

今週末のHMSセミナー(保健・医療・福祉サービス研究会)は、
そんなダブルヘッターで開催します。

今回は席にまだ若干の余裕があるとのことなので、直前ながらご案内まで。



【午前】
正念場を迎える急性期病院の経営戦略・戦術セミナー(パートⅡ)
~2020年改定で本格的に絞り込まれる急性期病院。次期改定に向け平均的な診療実態から
在院日数(効率性係数)と診療単価(診療密度)が外れる病院に退出ルールが設定~

講師
保健・医療・福祉サービス研究会 診療報酬病院経営指導講師
株式会社MMオフィス 代表・関東学院大学大学院 非常勤講師
工藤 高 

株式会社メデュアクト 代表取締役
関東学院大学経営学部非常勤講師・日本大学薬学部 非常勤講師
流石 学

会場:銀座同和ビル2F(HMSセミナールーム)
   東京都 中央区 銀座 7-2-22
日時:2019年2月24日(日) 9:00~12:40


【午後】
重症度、医療・看護必要度の科学的分析とマネジメント実践セミナー
~2008年に始まり、2014年には名称が「重症度、医療・看護必要度」になり、2016年、2018年改定で更に変わった。重症度、医療・看護必要度をどう科学的に分析し、病床再編の方向性や経営改善にどう生かしマネジメントするか〜

講師
保健・医療・福祉サービス研究会 診療報酬病院経営指導講師
株式会社MMオフィス 代表・関東学院大学大学院 非常勤講師
工藤 高 

有限会社 高屋 
病院経営アドバイザー・組織力アップトレーナー(看護師・保健師・心理相談員)
上村 久子 氏

会場:銀座同和ビル2F(HMSセミナールーム)
   東京都 中央区 銀座 7-2-22
日時:2019年2月24日(日) 13:30~17:30



2019年2月12日火曜日

四国水族館 建設工事の進捗状況

2019年1月末現在、建設工事は順調に進捗しています。

現在は1階の床部分を作る躯体工事を行っています。
写真中央の長形部分が水族館の本館になります。
写真中、本館の左側中央付近に大水槽の形が見えてきました。



また建設現場の仮囲いに、
生き物と一緒に泳いでいる風のデザインシートを設置しました。
場所はうたづ海ホタルの近くです。

撮影した画像を回転させると、
生き物と一緒に泳いでいる風の絵になります。
うたづ臨海公園にお越しの際はぜひ試してみてください。





2019年2月1日金曜日

カルバペネム系抗菌薬の使用状況に関する検証 ②

■中小病院は特に注意が必要か!?
 図は、公開データをもとに各病院を病床規模ごとにグループ化し、AUDの値に応じた区分の割合を示したものです。

 AUDが小さい、すなわち抗菌薬の使用量が少ない区分に該当する病院ほど、200床未満の中小病院の割合が多いことがわかります。

 一般的に、カルバペネム系抗菌薬の使用量は血液内科や移植手術を行っている病院で多くなる傾向があります。病床規模の大きいグループでは、特定機能病院やDPC特定病院群が中心となり、血液内科や重症感染症の患者が多くなるため、カルバペネム系抗菌薬の使用量が多くなっているものと推測できます。

 しかし、カルバペネム系抗菌薬の使用量が多いAUD「30未満」「30以上」を見ると、200床未満の中小病院の割合が増加しています。特に「30以上」では200床未満の病院が全体の6割以上を占めています。

 ケースミックスによって異なるため一概に横並びの比較は出来ませんが、病院ごとの値を確認すると、100床未満の病院では、AUDが0.1を下回る病院から80を超える病院まで1,000倍以上の差があります。さらに述べるとAUDが40を超える病院は全国で11病院ありましたが、すべてが100床未満の病院でした。この傾向はDOTも同様です。



抗生剤




■急がれる抗菌薬適正使用に向けた環境整備

 感染症専門医や感染制御専門薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師の数は、全国にある約8,000の病院数に遠く及ばない現状があります。特に病床規模が小さい場合、医療者の人数も限られるため、その中で専門の医師、薬剤師を確保することは難しいという実状もあるでしょう。

 またカルバペネム系抗菌薬をはじめとする広域抗菌薬は、処方にあたって届出制ないし許可制であることが感染防止対策加算の施設基準になっています。そのため、現時点でも届出制もしくは許可制の病院は多いと思われますが、事実上、形骸化している病院が多いのではないでしょうか。

 多剤耐性菌のアウトブレイクを引き起こすリスクもあり、AMR対策は病院にとって言うまでもなく重要な課題です。とはいえ、AMR対策を担うASTの役割は、抗菌薬の処方を画一的に制限することが目的ではなく、最適な薬剤を積極的かつ十分に投与することにあります。ASTに求められる役割と責任は非常に大きいと言えるでしょう。


前回:カルバペネム系抗菌薬の使用状況に関する検証 ①