2019年1月17日木曜日

カルバペネム系抗菌薬の使用状況に関する検証 ①

 近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や、カルバペネム系抗菌薬に耐性の腸内細菌科細菌(CRE)など、新たな抗菌薬耐性菌の出現による難治症例の増加が問題になっています。薬剤耐性(AMR)対策は国際的にも問題となっており、国内では2016年に政府がAMR対策アクションプランを策定しました。

 こうした背景の中、2018年度改定ではAMR対策の1つとして、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の取り組みを評価する「抗菌薬適正使用支援加算(入院初日100点)」が新設されました。ASTは、感染症を専門とする医師や薬剤師を中心に、臨床検査技師、看護師らで構成され、感染症治療の患者に介入し、抗菌薬による治療効果の最大化と、有害事象の最小化を両立するための支援が求められます。





■カルバペネム系抗菌薬の使用状況の公開

 平成30年3月の中医協のDPC評価分科会で公表された「平成28年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について」(以下、公開データ)の中で、「特定抗菌薬の使用状況」として、データ提出加算を算定する病院の病棟種別、年齢区分ごとのカルバペネム系抗菌薬に関するAUD及びDOTが公開されました。
 AUD,DOTの計算式は以下の通りです。

AUD:入院1,000病床・日あたりの抗菌薬使用量
  計算式:抗菌薬の総使用量(g)/(DDD×入院患者延べ日数)×1,000
  ※ DDD(Defined daily dose) 世界保健機構(WHO)で定義された1日投与量

DOT: 入院1,000病床・日あたりの抗菌薬投与日数
  計算式:(抗菌薬の延べ投与日数/入院患者延べ日数)×1,000
 
 では、病院間にどの程度の差があるでしょうか。
 今回は公開データの中から、「65歳以上の入院」かつ「一般またはその他病棟(転棟を含む)」のAUDを取り出し、病床規模別に検証しました。


続き:カルバペネム系抗菌薬の使用状況に関する検証 ②