2019年6月12日水曜日

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用状況の差-DPC病院と出来高病院- ①

■後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進は引き続き

 2019年3月27日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2020年度診療報酬改定に向けた主な検討項目が取り上げられました。

 次期改定に向け、夏までの第1ラウンドでは、患者の疾病構造や受療行動等を含めた年代別の課題を整理すること、働き方改革や地域医療等の昨今の医療と関連性の高いテーマの課題を整理することを基本に、横断的な議論を行っていくことが了承されました。

 医薬品に直接関係するところでは、多剤投与・重複投与等への対応、後発医薬品の使用促進、フォーミュラリー等への対応といった従来からのテーマが挙げられています。

 今回は、引き続き議論のテーマとなっている後発医薬品について、平成29年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果から、後発医薬品の使用割合の病院間の差について検証しました。


■DPC病院と出来高病院に生じる使用状況の差

 後発医薬品の使用状況を検証するにあたり、病院をDPC病院と出来高病院の2つグループに分け、縦軸に一般病棟における後発医薬品の使用割合、横軸に一般病棟の病床数を取り、病院ごとにプロットしました。

 DPC病院では、病床規模に限らず後発医薬品の使用割合が70%以上のところに多くの病院が集約され、DPC病院全体の85%以上を占めています。




 DPC病院では、機能評価係数Ⅱで後発医薬品の使用割合を評価する「後発医薬品係数」が2014年度診療報酬改定で導入されて以降、後発医薬品の使用割合は急速に伸びた経緯があります(後発医薬品は2018年度改定で廃止)。
 
 DPC/PDPSでは、一部の薬剤を除いて入院中の薬剤料は包括されるため、コストの少ない後発医薬品を使用するインセンティブがありました。後発医薬品への切り替えは注射薬や高額な薬剤が中心で、筆者の個人的な経験の中でも、比較的安価な内服薬は先発品のままの病院が多かった記憶です。

 しかし、後発医薬品係数が導入された2014年度診療報酬改定では、当時の上限基準であった数量割合60%以上を満たしていた病院に「0.01544」という高い係数が付与され、経営に非常に大きな影響を与えました。

 その結果、それまで後発医薬品の使用割合が小さかった病院も、追随するように全面的な後発医薬品への切り替えを図ってきました。

 一方、出来高病院ではどうでしょうか?