2019年1月7日月曜日

湿布薬の処方量制限は、全体の使用量にどのような影響を与えたか!? ②

■国内全体の処方量を分析する

 使用量の算出には、第2回および第3回NDBオープンデータを用い、薬効分類「鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤」の貼付剤に該当する有効成分ごとの使用量上位3成分を取り上げ、両年度ともに処方数量データが公表されている製品を対象に、先発医薬品、後発医薬品を問わず、全体の処方数量の変動を分析しました。
 
 第2回NPBオープンデータの対象期間は平成27年4月~平成28年3月、第3回NDBオープンデータは枚数制限ルールが導入された平成28年4月~平成29年3月です。
図がその検証結果となりますが、外来における処方数量はケトプロフェン(モーラステープなど)が対平成27年度比で16.3%の減少、ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニンテープなど)は6.5%の減少、フルルビプロフェン(アドフィードパップなど)は21.5%減少でした。薬効成分ごとの差はあるものの、全体で1~2割程度の処方数量が減少した形となります。





■本当に必要な処方であったのか!?

 処方数量の減少は、個別の製品、有効成分への需要変動による影響も当然考えられます。しかし高齢者の増加に伴い、本来の需要が増えているであろうことを踏まえると、診療報酬改定の影響が大きかったことを否めません。

 湿布薬は残薬になりやすい薬剤であり、枚数制限によって実際に必要な量を超える処方を防ぐことが出来ているのであれば、医薬品の適正使用の観点からは望ましいことと言えます。一方、有効成分によっては、外用消炎鎮痛薬はOTC医薬品として販売されており、不足分を患者自身がドラッグストア等で購入した可能性もあります。

 高齢者が増加するにつれて、湿布薬の実需要も増加していくことが見込まれます。その中で枚数制限ルールの導入は、医薬品の適正使用や医療費の抑制、さらにはセルフメディケーションの推進に、一定の効果を示したものと言えるのではないでしょうか。