医療費抑制のために後発医薬品の使用促進に向けた施策は引き続きとなりますが、DPC制度の後発医薬品係数や一般名処方加算等により、使用割合80%の数値シェア目標の実現が見えてきた中で、処方薬の単価を下げる取り組みから、そもそもの量を減らす取り組みにシフトしつつあります。ポリファーマシーの概念も普及しつつあり、高齢者が増加する中で、財政的な問題だけでなく、医療の質の観点からも薬剤を減らそうという気運が高まってきました。
さらに前回の改定においては薬剤総合評価調整加算・調整管理料が新設され、処方薬を減らすことにインセンティブがつくようになりました。しかし、当社の保有する医療機関のデータを見る限りでは、同加算、管理料が算定されているケースは非常に少なく、当初の想定から考えると、実態としてあまり功を奏していないように見受けられます。
そこで今回は「量」と言う視点で、前回の改定で適正給付の観点から処方の取り扱いが見直された湿布薬を題材に取り上げ、第2回NDBオープンデータを使用して処方量に関する地域差と高齢化率の関係について検証しました。
ここで述べる湿布薬は、薬効分類上で「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」に該当する貼付剤とします。なお、同データの対象期間は平成27年4月~平成28年3月の診療分となるため、湿布薬の処方枚数の制限が入る前のデータとなることをご留意ください。
中医協資料
平成28年度診療報酬改定で、湿布薬は1処方あたり70枚までに制限。