2019年6月21日金曜日

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用状況の差-DPC病院と出来高病院-②

■DPC病院とまったく異なる出来高病院の傾向

 出来高病院では、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合が90%超から10%未満まで幅広く分布しています。DPC病院と出来高病院では、まったく異なる分布になることがわかります。

 出来高病院のうち、後発医薬品の使用割合が70%を超える病院は半数程度です。

 また対象データが平成29年度の実績に基づくため時間軸は異なっていますが、仮に病院ごとの使用割合を現行制度に当てはめると、最下位基準である後発医薬品使用体制加算4(使用割合60%以上)を満たしていない病院が、出来高病院の3分の1を占めていたことになります。




 後発医薬品の使用割合を評価する項目として、2010年度改定で後発医薬品使用体制加算が導入されました。その後も評価方法や基準要件を変更しながら、上位基準の点数は改定ごとに引き上げられてきました。
 
 しかし、DPC病院の後発医薬品係数ほどの影響力はなく、従来通り先発医薬品への信頼性や薬価差益などに重きが置かれ、後発医薬品への切り替えは比較的緩やかに進んできたと言えます。

 かつては「安かろう、悪かろう」の後発医薬品でしたが、メーカーの品質改良の努力やオーソライズド・ジェネリックの登場、情報提供体制の整備等によって、つい10~20年前とは比較にならないほど臨床現場に受け入れられてきています。後発医薬品メーカーの企業努力の賜物と言えるでしょう。しかし、ここまでの至る経緯、検証結果を考えると、筆者の立場からは、後発医薬品の普及にあたっては、診療報酬の経済誘導による影響力の方が遥かに大きかったように見えます。


■後発医薬品を取り巻く次の舞台は?

 前述の通り、次期診療報酬改定の議論では「フォーミュラリー」がテーマに挙がっています。

 フォーミュラリーとは、標準的な薬剤選択の使用指針に基づく採用医薬品リストとその関連情報のこと。医療機関等における標準薬物治療の処方ルール、同種同効薬の処方ルールを、有効性、安全性だけでなく、経済性を含めて作成されます。現状議論されているフォーミュラリーでは、経済性を含めた対応が求められるため、同種同効薬では後発医薬品の使用が前提となってきます。

 まだ馴染みの少ない概念ではありますが、薬物治療の標準化や医療財政を考えると、遅かれ早かれフォーミュラリーは普及することが予想されます。これまで以上に広い視点から、医療機関の後発医薬品の扱い方が問われる日が近づいているのではないでしょうか。