2018年11月1日木曜日

外来EFファイルに見る現状の課題と今後への期待

傷病や患者背景に関する情報がデータに加わったことで、外来分析の幅は大きく広がっていきます。
例えば、外来に通院する患者のうち、糖尿病を罹患している方が何人いるか、さらに糖尿病合併症管理料の対象となる足潰瘍、足趾・下肢切断既往、閉塞性動脈硬化症、糖尿病神経障害に該当する方が何人いるか、といった情報が具体的に把握でき、実際にどの程度の方に介入できているか、算定できているかといったところまで見えるようになります。性別や年齢だけでなく、診療科、医師に関する情報もあるため、どこに、どの程度いるかといった、もう1歩深堀した検証も可能になります。

 しかし現状の外来データは、入院データ(様式1、D,E,Fファイル)と比較して精度の不十分さを否めません。
レセプト病名や治療が終了したはず傷病がそのまま消されずに残っているなど、分析を行うにあたってのデータの精度がまだまだ十分な医療機関が多いことと思います。実際にいくつかの医療機関の外来データを検証したところ、前述したようなケースや主傷病が10疾患以上あるケース、主傷病以外の傷病数が3040疾患を超えるようなケースが散見されました。とは言え、多少の課題こそ残しているものの、外来データに傷病等の記録が加わったことで、分析の幅が広がったことは間違いありません。データ精度についても、DPCデータのように、保険診療係数のような診療報酬等の誘導も使いながら、徐々に精度が上がっていくものと期待されます。
またデータ量の多さも外来分析のハードルを上げる一因でしたが、新たに傷病レコードが加わったことで更にデータ量が増えた形となっています。この点も課題と1つと言えるでしょう。

外来データによる分析手法や有効活用の事例は、これから少しずつ目にする機会が増えていくのではないでしょうか。
これまでも入院データと外来データを紐づけることで、治療を外来→入院→外来の一連の流れとして検証することはありました。さらに4月以降の情報の増えた外来データや院内で独自に作成する地域連携に関する情報を加えていくことで、患者の流れ、医療提供の流れを「見える化」をすることが可能になってきます。他のデータを紐づけた分析については、また別の機会にお伝えしたいと思います。

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