2018年6月30日土曜日

【2018年度診療報酬改定】DPC/PDPSに関する改定の影響


2018年度診療報酬改定において、DPCPDPSはこれまでの改定と同様、直近の診療実績データ等を用いた診断群分類点数表の見直しが行われています。
診断群分類ごとの入院期間、日当点の見直しは、マイナーチェンジとはいえ入院収益に直結するものであり、またベッドコントロールの目安の変更に繋がることも多いため、決して軽い問題ではありません。
そこで今回は件数の多い診断群分類(俗に言うメジャーコード)を取り上げ、2016年制度と比較してどのような傾向が生じているかを検証していきます。

まず平成28年度の「退院患者調査」の結果より、DPC対象病院の症例件数の上位50診断群分類(短期滞在手術等基本料3の対象になる診断群分類を除く)を分析対象に、今回の改定の影響を確認しました。
まず入院期間は、分析対象の40%にあたる20分類において入院期間Ⅱの日数設定に変更がありました。内訳は日数の延長が1分類、短縮が18分類です。また短縮した日数は、3日が1分類、2日が3分類、1日が14分類となっています。入院期間Ⅱの設定変更を見るだけでも、DPC対象病院の平均在院日数がより短縮する傾向にあることがわかります。メジャーコードは在院日数の短縮を評価する効率性係数に与える影響も大きいため、各医療機関の取り組みが、入院期間Ⅱの短縮に繋がっているものと言えます。

日当点の変更による収益への影響はどうでしょうか。
次に収益シミュレーションとして、医療機関別係数が新旧制度ともに「1.000」、かつ2016年制度の入院期間Ⅱの最大日数まで入院した場合の増減収の状況を検証しました。
 分析対象の50分類を前述の条件に当てはめると、増収が22分類、減収が28分類となり、減収する診断群分類の方がやや多くなります。増減収率の平均値は▲0.3%、中央値は▲0.4%でした。但し診断群分類ごとの増減収率の差は大きく、+5%以上の増収になる診断群分類(てんかん、前腕の骨折などの診断群分類)がある一方で、逆に▲5%を超える減収になる診断群分類(頻脈性不整脈、狭心症などの診断群分類)もあり、医療機関の疾患構成によって影響度合いは異なりそうです。



これらの結果からも、全体的には診断群分類点数表は厳しい変更になっていることがわかります。とは言え、DPC対象病院にとって今回の改定が向かい風かというそうではありません。
機能評価係数は全体的に上がっているからです。例えば、機能評価係数Ⅰの項目である感染防止対策加算1を見ると、2016年制度では入院初日に400点(出来高算定の場合)の算定でしたが、2018年改定で390点に下げられました。しかし機能評価係数Ⅰでは、0.0122から0.0135に係数が引き上げられており、出来高の診療報酬とは逆の動きをしています。
また機能評価係数Ⅱも全体的に上がっています。DPC標準病院群では、暫定調整係数、激変緩和係数を差し引いても、平均で+0.0095アップしました。
機能評価係数Ⅱに関して述べると、今回の改定で暫定調整係数の財源が機能評価係数Ⅱに割り当てられたこと、さらに後発医薬品係数、重症度係数が廃止なったことで、6つの係数の平均値はいずれも約2倍になりました。別の見方をすると、各係数のトップとボトムの差も2倍に開き、病院間の差がつきやすくなったとも言えます。

これまでもDPC対象病院は、機能評価係数をいかに上げるかが経営上の重要な課題であると言われてきました。入院収益のベースとなる診断群分類ごとの入院期間、日当点を厳しくする一方で、機能評価係数の重要性がより一層増していることが見えてきます。