2017年10月15日日曜日

DPCデータを用いて地域の医療需要を予測する ①

 病床再編など、将来の医療需要を踏まえた戦略を立案する際、患者層の地理的背景を考慮しているでしょうか。

 同じ二次医療圏内、同じ市町村内であったとしても、エリアごとの医療資源、交通の利便性、人口構造等には大きな格差が存在しています。実際、高齢化率ひとつをとっても、同一市内の地区間で10~20%の差があるケースは決して珍しくありません。当然、来院する患者の地理的な背景は一様ではなく、居住地区の規模、人口構造など、医療需要に影響を与える因子が、各医療機関の患者数に影響してきます。それらを踏まえた上で検討することが、マーケティングの観点からも重要と言えるでしょう。

 そのためにはまず現状分析が必要になります。自院の患者は一体どこから来ているのでしょうか。経験上、正確な数値は把握していなくても、スタッフが少なくとも感覚値として持っているケースはよくみかけます。しかし診療科別や疾患別で見るとどうなるのか、単純に患者数ではなく、地区ごとの市場占有率、すなわち集患力はどうかと言われると、答えられる医療機関は一気に少なくなります。

 そこで今回はMDC(疾患領域)別にデータ分析することで、疾患領域ごとの集患力の地域差を検証していきます。


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