2018年12月14日金曜日

ポリファーマシー対策はどこまで浸透しているのか!? ②

■薬剤総合評価調整管理料の算定状況

 算定状況の把握には、第3回NDBオープンデータを活用しました。同データは2016年4月~2017年3月が対象期間のため、薬剤総合評価調整管理料が評価項目として導入された直後1年間の状況が集計されています。

 まず日本全体の100床あたりの年間算定回数は平均1.3回という結果でした。都道府県別では、最も多かったのが埼玉県で2.8回、逆に最も少なかったのが岩手県で0.3回です。

 都道府県間で数倍の差があることもポイントにはなりますが、それ以上に注目したいのが、年間算定回数の全国平均が100床あたり1.3回しかなかったということです。500床の大規模病院であっても、2ヶ月に1回程度しか算定がなかったことになります。
 ポリファーマシー対策の評価として新設されたものの、少なくとも導入直後1年間においては、6剤以上の薬剤を服用する患者数に対して、決して十分な取り組みが出来たとは言えない実態が見えてきます。



薬剤総合評価調整加算



■流れは変わりつつある?

 高齢者の医療需要が増加する中で、ポリファーマシー対策の必要性が高まり、さらにインセンティブとして設定されたものの、臨床現場の事情もあって現実の壁は高かったのかもしれません。

 とはいえ、その流れも徐々に変わりつつあるように思います。
 あくまで筆者が確認している限りですが、病院のデータを分析していると、2016~2017年度にかけて、薬剤総合評価調整加算をまったく算定していなかった病院であっても、2018年度に入って以降、回数こそ多くはありませんが、ポツポツと算定するケースを見かけるようになりました。

 要因の1つとしては、ポリファーマシー対策、評価項目への理解が、医療現場に浸透してきたことが考えられます。医療機関を訪問して先生方と会話する中で、1~2年前と異なり、ポリファーマシー対策への機運が少しずつ高まっていることを実感しています。
 
 また2108年度の診療報酬改定では、これまで包括評価だった地域包括ケア病棟入院料で、薬剤総合評価調整加算を出来高算定できるようになった影響も考えられます。地域包括ケア病棟は高齢者による入院が多くを占める傾向があるため、同病棟を持つ医療機関にとっては算定対象、算定機会が必然的に増加しています。

 いずれにしても、ポリファーマシー対策は医薬品の適正使用のために必要なことであり、遅かれ早かれ進展していくものと考えています。病院としていかに取り組むか、今後の課題の1つになっていくのではないでしょうか。


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